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平成25年度 開催報告


第39回 健康セミナー

「塩は高血圧の敵」
講師: 藤田 敏郎 氏(東京大学名誉教授)

1.高血圧は症状にでない「サイレントキラー」
  血圧を計らないとわからない
  発見が遅れると ⇒ 脳卒中・心筋梗塞・腎不全につながる
2.高血圧の原因: 生活習慣
  食塩の量 ・ 運動不足 ・ 高カロリー食 ・ 飲酒
3.高血圧の予防: 生活習慣の改善 と ストレスのコントロール
4.高血圧治療ガイドライン
 ①減塩
 ②DASH食
 ③減量
 ④運動(汗をかく程度に30.分ぐらい)
 ⑤節酒(少量なら可能)
5.高血圧治療ガイドラインによる減塩目標
 【 1日 6g 未満 】
6.アジアは食塩摂取量が多い。
 食塩摂取量 3g/日までは血圧は緩やかに下がり、その後 著明に下降する。
 加齢により、血圧は上昇すると思われるが、食塩摂取量が低い集団では加齢による血圧上昇を認めない。
 原始的な食事をしていれば、血圧は上がらない。
 食塩摂取量はここ1000年で急増した。
7.日本人の成人に勧められている塩分量(厚生労働省)
 健常人    ―  男性: 9g /1日 以下
           女性: 7.5g/1日 以下
 高血圧患者  ―  6g /1日 未満
8.減塩の効果
  ・食塩を1g下げると、血圧が1mg下がる。
  ・薬を2・3種類飲んで、血圧下がらない人でも減塩するだけで血圧が下がる。
  ・肥満の方は、減量するとよい。
  ・腎不全は、塩分摂取の少ない人はなりにくい。
9.減塩の効果と対象
  ・減塩により血圧が下がるだけでなく、降圧薬の効果を増強する。
  ・食塩過剰摂取は血圧と独立して、臓器障害を生じる。
             ⇓
       減塩は、すべての高血圧患者で推奨
10.米国では、塩分摂取量を9.5g/日⇒6gを目標設定することで、50万人の命を救うと言われている。
11.リンゴ摂取の降圧効果(秋田県民)
  リンゴに含まれるカリウムは、食塩過剰摂取による高血圧を抑制する(カリウムは腎臓の悪い方は注意、医師に相談)
12.DASH食
  野菜・果物を積極的に摂取し、脂肪を控える食事 ⇒ 食塩の悪影響を軽減させる
13.食塩感受性高血圧 ― 食塩摂取で血圧が上昇し、減塩で血圧が下降
       原 因 :  遺伝子要因(人種) ・ 環境要因(食塩、脂肪、ストレス)
       環境要因が高血圧遺伝子を活性化して、食塩感受性高血圧を生じる
                   ⇓
      【エピジェネティクス】  遺伝と環境の絡みによって、表現型創られる
  ・一卵性双生児は産まれたばかりは、ほぼ同じだが、年をとるにつれ、環境要因によって変わる。
  ・肥満になると、食塩感受性が高くなる(メタボリックシンドローム)
14.加工食品の塩分表示
  ナトリウム(Na)表記が多く、食塩(Nacl)ではない。
  ナトリウム(Na)2g = 食塩(Nacl)5g となる。
  【 食塩(Nacl)5g = ナトリウム(Na) × 2.5 】
※減塩するには、いかに意識をして減塩するかが重要 !!
15. ま と め
  ①高血圧患者では食塩制限が必須。目標は6g/日であるが、理想の減塩はさらに低い。
また目標に達成しなくとも、降圧はきたいできるので、少しずつ減塩するのが現実的である。
  ②特に肥満高血圧患者では、肥満是正や野菜・果物の積極的摂取は食塩過剰摂取の弊害を改善する。
  ③幼少期からの減塩の実行が重要であり、家族ぐるみで減塩食に親しむことが大切である。

概要

開催日時 平成25年11月13日(水曜日) 13時00分~14時30分
会場 日本橋三越本店6階 「三越劇場」
総合司会 水野 杏一(三越厚生事業団常務理事・日本医科大学名誉教授)
開会挨拶 鈴木 庸(三越厚生事業団常務理事)
参加人員 210名
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